明石海峡大橋をくぐった男

Category : 小豆知識

明石海峡大橋は3911Mもの長さを誇る、世界最長のつり橋である。あのギネス世界記録に登録されているこの橋は、別の名を「パールブリッジ」といい、建設費は5000億円をくだらない。その甲斐があってか、夜間に瀬戸内海に浮かび上がるこの橋は、ひときわ魅力的に映える。いまいち世間の注目度が低いのは、PRに力を入れていないせいだろうか。世界に誇る光を放つといっても過言ではない。ちなみに、ジャンボフェリーは明石海峡をくぐり抜ける。夜の便でのみ見られる艶やかな光は、阪神淡路大震災を乗り越えて着工された力強さを感じずにはいられない。そのライトアップには、全て強い意味が込められている。それは、季節、暦、時間など自然の摂理を教えてくれる。現代人が忘れがちな感情を、嫌味なく引き出してくれるのだ。人間は忘れてはいけないものでさえ、気づかないうちに忘れてしまう癖がある。定期的に物理的な刺激を受けないと、それはなかったことになってしまう。震災があった1月17日になると、この橋は大切なことを人間に語りかけてくる。それは、冷たいほど真っ白で暖かい、沢山の想いだ。

完成は1998年にまでさかのぼる。構想自体は、第2次世界大戦前からあった。しかし、時代が追いついていなかった。技術の問題もさることながら、軍事上の理由からこの構想は具体化には至らなかった。1986年に着工されたため、地震があった1995年には既に工事は佳境を迎えていた。しかし、あの大震災を乗り越えて、今の明石海峡大橋が存在している。震災の影響といえば、完成が少し遅れたことと、全長が1M伸びたことぐらいであろう。まさに復興の象徴である。逆境をバネにして、さらに伸びていく様は日本の歴史を示唆しているかのようだ。

その力強い魅力に引き寄せられた人に、今も愛され続けている。2009年には、1億台分の思い出がこの橋を通じて形となった。人々は移ろいやすい。好奇心がこの社会を支配しているかのようだ。その世の中で、愛され続けることは困難を極める。だがしかし、それは奇跡ではない。この橋に与えられた使命であろう。この世を生きる人間にとって与えられた使命を全うすることすら、容易いことではない。それをいとも簡単に成し遂げてしまうこの橋を、どうしてただの橋だと言えよう。この橋には、とてつなく多くの感情が込められている。工事に携わった者の苦難。震災を経験した者の憂い。極楽浄土を求め四国へ旅に出た者の煩悩。家族の元を離れ、物資を運搬する者の愛。見果てぬ夢を追いかけた者の希望。航路を失った者の妬み。これらの全てが、この橋を支えているのだ。そして、今日も明石海峡大橋は島と島を繋いでいる。それはまるで、人と人を繋ぐ愛のようだ。愛の架け橋、明石海峡大橋。これからも沢山の愛を届けておくれ。

 

編集後記

この記事は1月16日の深夜に書きました。いつもなら眠気に負けてるところですが、なぜか書きたくなりました。しかも、妙な文体で。記事の中にも1月17日という日時が出てきていますが、それが翌日だとは気づきませんでした。

今日、携帯から無差別に送られてくるメッセージによって、1月17日が何の日かを知りました。そうです、阪神淡路大震災があった日です。

どっかの誰かさんが、僕にこの記事を書かせてくれたのでしょうか。ならば、少しでもその誰かさんや世の中の人の役に立てるように努めたいと思う1月17日でした。

言い訳になりますが、話題性を狙ってこの記事を書いたわけではありませんので、あしからず。


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